絵は色んな色で表現されますが、その多くは「線画が黒又は赤茶などの茶色系」です。
一番何にも混ざりにくく、どんな色を上から重ねても馴染みやすいのが理由でしょう。
それに、鉛筆画などのどの画法を用いても黒は万能で、扱いやすいいろなのもあると思います。
ですが、今回はあえて一色だけでキャラクターを表現しようと思い立ち、今までの茶色や黒の線画ではないもので描こうと思いました。
今までやったことがないチャレンジでしたが、これを思いついたのはある作品がヒントになったからです。
まずは出来上がった絵を紹介
では、まずは出来上がった絵を紹介します。
見てのとおり、使ったのはピンクだけです。
ピンクで線画を描き、ピンクの色の濃さだけで洋服の描き分けをしました。
肌はあえて塗らずに白のままにしています。
色の濃さだけで表現しないといけないのは、むしろ今までの色の使い分けで描くイラストよりも楽でした。
使う色が一色、というルールがあるからこそ、選択範囲が狭くなり、むしろ自由にのびのびと描けたかなって思います。
ハイライトを描くなら線画の近くの色を削ったりすればいいし、ハイライト映えがしますね。
ピンクだけで描いたので、命名するなら「ももちゃん」ですかね。
なぜ一色イラストを描こうと思ったのか
なぜ今回一色イラストを描こうと思ったのかですが、ヒントになったのは映画のおそ松さんでした。
えいがのおそ松さん自体は劇場に観に行ったりしたわけではないですが、別の映画を観に行った時、この映画の予告映像が流れたんです。
その時、普通は線画を黒で描くと思うんですが、この映画のキャラクターの線画は青で描かれていました。
それに衝撃を覚えたんです。
普通、青は線画には選ばない色ですし、多少浮いてしまいがちになります。しかし、それがむしろ味になっていて、非常に面白いと思いました。
それがなんか頭から離れなくて、ふとした時にそのことを思い出したんです。
で、もし自分が線画の色を自由に決めて良いなら何色にするかなって思った時、いつもラフを描く時に身体のあたりを描くのに使っているピンクが浮かびました。
ピンクなら使い慣れている色だし、好きな赤系の色なので、良いなって思ったんです。
なぜ一色にしたのか
最初はピンクの線画に色んな色をのせてイラストを完成させようかなって思ったんですが、それだとおそ松さんと同じような感じになってしまいます。
なら、そうではなく自分らしい何かを新たに作りたいなって思い、ずっと考えていたんです。
で、結論を出したのが一色イラストの制作でした。
モノクロイラストは世の中にたくさんあります(漫画は全部そうですね)。でも、ピンクだけの絵ってあんまり見ないなって思ったんです。
工程の中にピンクを使用していることはあると思いますけど、完成イラストがピンクだけって面白いんじゃないかって思いました。
で、色んな試行錯誤を頭でしながら悩んだ末に完成させたのが今回のイラストです。
よくあるグリザイユ画法に近いイメージ
ピンク一色だけなので線画との馴染みが良いのはわかっていましたけど、本当に真っピンクだけにしちゃうとそれも味気ないと思ったので、ピンクの色味を薄くしたり刻したりしながら描くことにしました。
いわゆるグリザイユ画法のやり方を自分なりに取り入れた感じです。
グリザイユ画法はグレーの色の濃さで陰影を表現して、その上から本来のせたかった色をのせることで自然に陰影がついたイラスを描く、という方法ですが、今回はそれを活かして本来のせたいピンクをのせることにしました。
なので、一色とは言っても色の濃さは違います。ただ、ピンク系という一つのルールのもとで描いた作品ではあります。
最初にしては成功したかも
初めて挑戦したわりには上手くいった方かもしれません。
というか、思ったよりも可愛く描けた気がしています。
色のルールが明確だからこそ描く時に迷わず進めたかなって思います。
いつもはどんな色をのせようか、目の色はどうしようかって迷うんですけど、ピンクだけっていうのがあったので、濃さの違う色をのせていって、良いなって思ったものを採用すればよかっただけなので、迷わなかったです。
むしろいつもよりも色を塗るのが楽しかったかなって思います。
自分で考えたわりには成功したと思います。
今回のイラストはパーツではなく、色を引き算してしまった感じですね。
口を描かないとか、指を描かないとかっていう引き算と同じように、今回は色の選択を引き算して、一色だけするっていう結論でした。
モノクロイラストとはまた違い、ピンクというのはほとんど見ないと思うので、新鮮だったかなって思います。